2013年に劇場で観た映画(実写編)
昨年、劇場で観た映画と感想を軽く記しておく。順不同。一応、実写とアニメで分けておく。これは実写編
『サイド・バイ・サイド〜フィルムからデジタルシネマへ〜』*1
デジタルへ移行しつつある映画関連技術(特に撮影)の現状を、ハリウッドの錚々たる監督達にインタビューする形で浮き彫りにしていくドキュメンタリー。俳優以上に個性が爆発した監督達を観るだけでも楽しい映画だったなぁ。デビット・リンチ、カッコ良すぎ。ジェームズ・キャメロンも撮る映画はアレなの多いけど、画作りへのこだわりと探究心には感心させられた。是非また観直したい
3Dで観て、初めてよかったと思った映画かもしれない。『アバター』とかも3Dで観たけど、ストーリーその他がアレで入り込めなかったし。主人公が漂流する海の美しさと恐ろしさ両面で3Dの魅力が遺憾なく発揮されていたように思う。原作未読だったから、仕掛け含めてなかなか楽しめた
『テッド』
マーク・ウォールバーグ大好き人間なので、当然のように観に行った。『フラッシュ・ゴードン』*2への半端ない愛に溢れたクレイジーな映画だったが、日本ではテッドの可愛さ?を理由にそこそこヒットしていた。今まで幾つもの名作&怪作コメディが不遇な扱いを受けてきたのに、クマ出しただけでこの扱いか!と本編と関係ないところで憤っていたような。監督兼テッドの声あててたセス・マクファーレンは新作*3が楽しみ
双極性障害が生々しくなりすぎないように、かつその苦しみが観る者に伝わるよう描かれていて、そのバランスが素晴らしかった。特に前半はテンポが非常に良く、大いに笑わせてくれる。ブラッドリー・クーパーの演技が真に迫っていて良い。ヒロイン:ジェニファー・ローレンスの気怠げな感じも良かった。デヴィッド・O・ラッセルはハズれがないね
ジョゼフ・ゴードン=レヴィット大好き人間なので(もうこれはいらないか…)観に行った。勿論SF映画だというのもある。独特の設定と前半/後半で別映画のようなテイストが面白い。前半、クスリをキメてハイになったまま仲間とオープンカーで街を流すシーンの多幸感たるや。ルーパーならではの拷問シーンとか、ブルース・ウィリスの「一般的イメージ」を生かしたキャラ作りとか、見所は多い
キャスリン・ビグロー、やっぱすげーな、と思った1作。爽快な暴力シーンなどひとつもなく、水とヘヴィメタの拷問シーンを観ながらただただ息苦しくなっていた。リアルタイムの突入シーンは、特殊部隊が意外にゆっくり潜入する(フィクション的なキビキビさがなくて逆に怖い)ところが興味深かった。知識と情報を生かしてジワジワ迫っていく過程がイイ
『フライト』
”悪い方”のデンゼル・ワシントン映画。冒頭の墜落シーンが凄かった。ただ、結論というか結末がどうにも好きになれなかったなぁ。ジョン・グッドマン演じる売人が最高だったから、まぁいいか。コカインキメて「月の裏側までブッ飛ぶぜ!」
『オズ はじまりの戦い』
サム・ライミ×ジェイムズ・フランコなんて、観に行かないわけない。1939年公開の『オズの魔法使い』に対するリスペクトが随所に見られてよかった。ストーリーも良い意味で児童書的。”翼の生えた猿”達がちゃんと恐ろしく描かれているのが素晴らしい。”陶器の少女”の勝気なキャラも良い塩梅。CGと3Dの生きる作品
『クラウドアトラス』
トム・ハンクスすげーってなる映画。他のキャストも勿論凄かったけど。6つの時代を監督2人(片方は二人で一組)でそれぞれ3つずつ担当するとか無謀な気がするけど、ちゃんと1本の映画として成立してた。構成ではグリフィスの『イントレランス』*4を思い出す。個人的には"幻の名曲の誕生秘話" (1931年)パートの主人公が見る幻想のシーン
が美しくて好きだった。誰が何を演じているか把握した上で観直すと面白いかも
タランティーノ&西部劇なら行くよ、そりゃ。クリストフ・ヴァルツがいい役だった。気のいいドイツ人。元ネタ*5も観たけど、それを踏まえた上で捻った構成って感じか。 間抜けなKKKとか小ネタも面白かった。ディカプリオの演じる奴隷農場主が最高
『ザ・マスター』
フィリップ・シーモア・ホフマンの遺作*6…の1つ前の作品。 予告編*7観た段階でヤラれちまって観に行ったけど、期待を裏切らない出来だった。人のカタチをした怪物同士が激突する映画。ホアキン・フェニックスの顔のアップが、いつまで観ていても飽きないと思えるほどカッコ良い。左右対称を意識して作られた画面に魅入る。かなり好き
『キャビン』
『アベンジャーズ』も悪かないけど、ジョス・ウィードンはこっちの方がいい。本作までのホラー映画をメタ的に取り込みつつ、本作自体もホラー映画である、という構成の作品。ただし、劇中に登場するホラー映画(の登場人物and怪物)を知らなくても楽しめる。予算少なくたって面白い映画は作れるんだよなー…マーティがマジで良いキャラ。終わり方も好み
『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』
前作*8が素晴らしかったので。ハーヴェイが本当に弱っていて、痛々しかった。二人が収拾した膨大な数の現代アートを全米の美術館へ寄贈する様を追ったドキュメンタリー。監督は相変わらず良い腕
悪くはないけど、期待してたのと違う…って感じだったカナ。レイ・リオッタが殺されるところはよかったけど。背景に留まるべきテーマが露骨に浮きだしてたから、いまいちノれなかったのかなぁ
『アイアンマン3』
2が正直微妙だった*9分、より面白く観れた気がする。スーツのバリエーションも限界までやり尽くした感アリ。ガイ・ピアースが素晴らしい小悪党ぶりだった。格闘しながら徐々にスーツ装着していく場面が超イイ
インド映画。ミュージカルシーンがストーリーにちゃんと絡んでいて感心した。成長を続けるインド社会の希望と闇をキッチリ描いて、尚且つベタに笑えるコメディ映画。主人公のカリスマ性が半端ない。ヒロインがベヨネッタみたいだった。また観たいなぁ
『オブリビオン』
予告編でネタバレしちゃってるのがなー。これに限ったことじゃないけど、予告編の作りには色々言いたい。ストーリーは古いSFっぽくて好き。トム・クルーズが主役にキャスティングされている意味がちゃんとあって、そこが良かったところ。ドローンが怖い
ニューヨークのストリートで50年以上ファッションを撮り続ける男、ビル・カニンガムを追ったドキュメンタリー。制作期間10年(ビルの説得に8年、撮影&編集が2年)という渾身の一作。監督が粘りに粘って追いかけた理由が、観ればわかる。誰もが彼のように”純粋”に生きたいと思うだろうが、現実がそうはさせてくれない。それでも他の全てを捨て、自分が愛するものを追って生きる姿はただ眩しい
冒頭キリンの首が飛ぶ。葬式。歌。どれも超サイコー。シリーズを観てきてこその展開&ストーリーだから一見さんお断りかもしれないけど、この作品に関してはそれでいい。前2作でも大概だっだアランとミスター・チャウが、ついに行くところまで(最早笑えないところまで)行くのが本当に素晴らしい
邦題がどうなのよ。原題から意味合いが大きく変わってしまっている…ま、これも本作に限った話じゃないし、前回の映画化作に準じただけだろう。服装を現代のブランドで固め、音楽も現代の音楽を使用、カーチェイス等派手な場面も多々あって非常に楽しい。特にパーティーシーンの迫力と絢爛豪華な演出だけでも一見の価値アリ。キャリー・マリガンには退廃的な雰囲気の魅力がある。ディカプリオのギャツビー、トビー・マグワイアの語り等々演者も素晴らしい。ジョーダン・ベイカー役のエリザベス・デビッキがカッコ良い
『アイアムブルース・リー』
冒頭のブルース・リーがオーディション受けてる記録映像観たら、ブルース・リー好きにならないわけない。ブルース・リー好きな有名人が沢山出てきて、どいつもこいつも目がイッちゃってる
何もかもサイコー。巨大ロボット、怪獣、マッドサイエンティスト…全てが詰まっている。日本特撮への半端ないオマージュに感動。ギレルモ・デル・トロの映画は色彩も素晴らしい。メインテーマは何度聴いてもアガる
色々あったけど、ペプシ美味いよね映画。冒頭のヘリに乗るまでのシークエンスがゾンビ映画っぽくて好き
『マン・オブ・スティール』
ニートスーパーマン。いや、スーパーニートマンか。取り敢えず自分探し。デフォで街破壊。市街戦のところはよかった。ヒロインは39歳!
カンバーバッチカッコ良い映画で、クライマックスは素手で殴り合い映画。リメイク1作目よりはずっと楽しめた気がする。放射能って…え?ってなる
『マジック・マイク』
個人的にソダーバーグとチャニング・テイタムの評価爆上がり映画。ステージシーンがかっこ良く、”グレーな世界”にいる人々の姿を克明に、かつユーモラスに描いている。この映画でも*10マシュー・マコノヒーが素晴らしい。たった7億でこれが作れてしまうハリウッドの環境が羨ましい…
『風立ちぬ』
良くも悪くも、ハヤオ映画を観る姿勢を、この映画を観ることでやっと理解できるようになった気がする
『地獄でなぜ悪い』
園子温映画で一番好きかも。本当に楽しい映画体験だった。ドラマとか観ないけど、これ観ただけで長谷川博己好きになってしまった。國村隼がマジかっこ良い。堤真一も最高。子役の娘の説得力も凄いし、二階堂ふみのキスシーンにシビれたなぁ。タイトル出るところで、なんかもう泣きそうになった。ファックボンバーズは永遠!
『クロニクル』
インディペンデント映画のクオリティが高いよなぁ。この映画も、低予算ながら、素晴らしい出来。とにかく主人公の”目”が凄い。陰鬱さと凶暴さを秘めた目の説得力たるや。主人公たち3人のバランスも良いし、ラストの『AKIRA』感もよい。ファウンドフッテージものの新境地
『エリジウム』
監督の前作*11が良すぎたせいか、若干の肩透かし感。予算が上がった分、CGのクオリティは凄かった。シャールト・コプリーが別人と見紛うばかりの変身&演技でいい悪役演じてた
『サイドエフェクト』
ルーニー・マーラの演技が素晴らしい。地味ながら面白い映画であった。精神系の薬物を気軽に処方するアメリカならではの話
『グランドイリュージョン』
出てる役者*12が最高なのに、話は微妙だったなぁ。映画で奇術扱うのはリスキー過ぎるね
『2GUNS』
マーク・ウォールバーグとデンゼル・ワシントンのコンビなんて、それだけで観るしかない。清々しいまでの午後ロー系映画。色々組織が出てくるのに、世界の手狭な感じが凄かった
『マッキー』
ハエになって愛する人を守るインド映画。悪役の人のリアクションをひたすら楽しむ映画。効果音含めた演出がベタで、逆に新鮮
『THE ICEMAN 氷の処刑人』
主人公:リチャード・ククリンスキーを演じるマイケル・シャノンの存在感がとにかくいい。カッとなってつい人を殺っちまう一方で、家族には深い愛情を捧げる男を見事に演じている。主人公の妻を演じるウィノナ・ライダーもよかった。万引きしないし。クリス・エヴァンズのカメレオンっぷりにも舌を巻く。殺人のシーンをかっこ良く見せない(スローにしたりスタイリッシュに撮ったり)のも印象的だったな
『悪の法則』
面白かったけど、綺麗すぎる映画だった。個人的には、同じマッカーシーならコーエン兄弟の『ノーカントリー』の方が好き。ペネロペ・クルスをあの役でキャスティングする意味はあったのか?キャメロン・ディアスの演技は素晴らしかった。マイケル・ハスベンダーもハビエル・バルデムもよかった。あれ?寧ろよかったのか?でも、やっぱり整いすぎていて、なんか違和感があったんだよなー
『42』
野球興味ないからよく知らないけど、野球界では有名な人の話らしい。珍しくハリソン・フォードがアツい演技してた。いい話だと思う
特別上映にて。全編歌ってるミュージカル映画。極彩色の画面とオトナなストーリー
最後に凄いの来た。まさに「体験としての映画」の極地。あの3D映像と音は劇場に行ってしか味わえない。冒頭13分ワンカットの息もできない緊張感、デブリによる衛星破壊シーンの迫力。放り出された時に見える宇宙の美しさ、宇宙服の酸素が尽きていく恐怖。全てが鮮烈だった。ジョージ・クルーニーがそのファニーな資質を生かした役でよかった。もちろん、主演のサンドラ・ブロックも素晴らしい。本編以外にも、色々面白いこと*14があって、充実していた
*1:公開は一昨年末だけど、去年の頭に観たので
*2:この映画を期に観たけど、マジで最高の映画。巨額の予算をかけて阿呆な映画を撮ることほど面白いことはない。ずっと薬キメてるみたいなハイテンションで、失敗したビックバジェットの邦画を観ている時のような嫌な気分にはならないのが素晴らしい。OPは無類のかっこ良さ
*3:「A Million Ways to Die in the West」のこと。リーアム・ニーソン大好き人間&西部劇&コメディなので間違いなく観に行く
*4:1916年公開。人間の不寛容を4つの時代を行き来しながら描く大作
*5:主に『続・荒野の用心棒』(1966)と『マンディンゴ』(1975)らしい
*6:遺作は『ハンガーゲーム2』か?
*7:http://www.youtube.com/watch?v=LiIbf7fbk-8
*8:『ハーブ&ドロシー アートの森の小さか巨人』
*9:ミッキー・ロークは最高。あとスーツケースから変形するマーク5最高。なんだかんだで好き
*10:『ウルフ・オブ・ウォールストリート』冒頭のマシュー・マコノヒーも最高だった。『トロピック・サンダー』等々、他にも良い助演多数
*11:『第9地区』
*12:個人的にはジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、ウディ・ハレルソン、メラニー・ロランが揃っているのがイイ
*13:これも邦題どうなのよ系映画。意味合いが逆になっちゃってる。原題は「Gravity」
*14:YouTubeの番外編短編、宇宙から毒電波を受信した人http://p.tl/XIA1等