今年、最近までに観た映画〜映画館〜

 

『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』

よく出来た児童文学的世界、異世界越境モノ、ボーイミーツガールの成長譚。前半やや長いけど、「魔の国」から来たヨヨに動機を与える行程として必要だったのだろう。死生観の違いから来る差異がよく描けていた。キャストも堅く、安心して観ていられる良作

→原作漫画全部読んだ。超面白い。映画版は、かなり原作へのリスペクトと愛が詰まっていることがわかった。原作読んでから映画を観直すと、また違った感想が得られそう。ディスク出たらすぐ観る

 

『ザ・イースト』

環境テロリスト組織「イースト」とそこへ潜入する民間スパイ会社のエージェントが奮闘する話。どの場面も絵画のように美しく、それでいてしっかりと物語に組み込まれている。描かれるのは、善悪や白黒では割り切れない複雑な世界だ。観る者は、ヒロインと共に、知識と技術、重たく切実な動機を持ったテロリスト達の闘いに一片の正義を見てしまうだろう。結論は観るものに開かれている

 

ウルフ・オブ・ウォールストリート

ヒューゴ以来のスコセッシ映画。ディカプリオと一緒にブチ上がり続ける映画。教訓的な話かと思ってたけど、そういう側面は薄い。それがいい!ゲラゲラ笑いながら勧誘電話かけるシーンが好き。相棒のジョナ・ヒルのクレイジーさも最高。冒頭のマシュー・マコノヒーも超よかった。薬キメて人を騙し続ける最高の一作

 

アメリカン・ハッスル

天才詐欺師とFBIが組んだ(事実に基づく)おとり捜査の話。デヴィッド・O・ラッセル映画のキャスト揃い踏み。クリスチャン・ベールのカメレオンっぷりに感動させられる。わかっていても、ちゃんとその役に見えるのがスゴイ。ジェニファー・ローレンスのキャラが最高だった

 

オンリー・ゴッド

おっさんとカラオケと、時々BBA。それが全て。セリフほとんどナシで、象徴を散りばめた場面(のみ)で構成されている。プロットとテーマは分り易すぎるくらい分り易い。ただ、「ドゥーン」って効果音と真顔のままスローモーションで歩くおっさんに、笑い堪えるの大変だった

→観た直後はなんだかなぁと思っていたけど、時間が経つに連れて、まぁこれも1つの映画体験なんだろうと思えるようになった。映画以外の媒体じゃできない体験をした

 

ホビット 竜に奪われた王国

3Dで。完全にエンタメ方向へ舵を切っていて、ピーター・ジャクソンさすがだなと思う。あの世界観を再現するバジェットを得るためには、あれくらい派手にしないといけないのだろう。でも、原作のスピリットはしっかり継いでいる。とにかくアトラクション感全開で、本作では特に川下りが楽しかった。街や溶鉱炉の造形も造り込んであって見応えある。3作目に向けての伏線も万全に張ってあって、年末が楽しみ

 

『ダラスバイヤーズクラブ』

マシュー・マコノヒーがここのところ何に出てても最高。本作も素晴らしかった。重たいテーマにも関わらず、というかだからこそ笑いどころが多くしてある。マシュー・マコノヒーもジャレット・レトも限界まで体重を削った役作りで本物のヤク中にしか見えないのが凄かったなぁ。日本が出てきて笑った

→パンフレットによれば、この映画は全編自然光で撮影されたらしい。確かに他の映画に比べて画面が暗かったけど、気になるほどではない。寧ろ、その絶妙なライティングは、計算された演出かと思っていた

 

キック・アス/ジャスティス・フォーエバー

相変わらずヒットガール最高だった。前作よりも軽い?というかポップな路線に舵を切っている感じ。暴力描写もマイルドになっていたような。昨今流行りの悩む方へは行かず、ストレートな2作目。ちゃんと前作から引き継いでる部分もあってよい。楽しかった

→本作が前作『キック・アス』において、キック・アス自身が変質させてしまった世界(ヒーローが跋扈する世界)の話だと考えると、恐ろしい。現実がコミック化してしまうと、そこでは死すらキャラクターが通過すべき障害の1つになる

 

『スノーピアサー』

ポン・ジュノとクリス・エヴァンズの名前に惹かれて観た。温暖化解消に失敗して人の住めなくなった地球をキチガイの作った列車が爆走する映画。ディストピアSFとして普通に面白いしジワジワ考えさせられる。クリス・エヴァンズのカメレオンっぷりに感心。ソン・ガンホはおいしい役

→観た直後よりも、あとからジワジワ来るタイプの映画。わりとオーソドックスな寓話だと思っていたけど、時間が経つにつれて細部の描写とかキャラクターの行動&発言が思い出され、考えさせられるようになっていく

 

『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』

先行上映で観てきた。エドガー・ライト映画にハズレなし!いつまでたっても大人になれない男が最高の親友と大冒険…っていう毎度同じ話なのに、なんで毎回面白いのだろう。超マニアックな映画のパロディに満ちていながらもしっかりしたシナリオに感服!

→コメディでありながら、アクションが凄い映画でもある。一粒で二度美味しい仕上がり

 

アナと雪の女王

3D字幕で。原作?の雪の女王とは全然違う話だった。すれ違った姉妹の話。同じなのはトナカイに乗って疾走するとこくらいか。アニメーションの技術力が高く、ミュージカルシーンの演出も色々工夫があって、観ていて飽きないし楽しい作品。キャラクターが現代的な造型なのが興味深い

→引くほど流行ってて怖い。それはそうと、ストーリー的には、悪役なんて出さない方が良かったのではないかと思う。その方がテーマを先鋭化できたのに。なんで?

 

ドン・ジョン

ジョセフ・ゴードン=レヴィット主演&初監督作。メディアに毒された人たちの話。鍛え上げたジョセフの肉体になんか違和感。そういう役だから仕方ないけど。ヒロインのスカーレット・ヨハンソンはどうも魅力が…あと、テーマが同じわけじゃないけど、今年はウルフが先にあるからなぁ

 

『あなたを抱き締める日まで』

どうしようもないゲスな宗教的慣習で引き離さてしまった息子を50年間探していた母親の物語。実話ベース。修道院に虐げられ、裏切られても、信仰を捨てない主人公:フィロミーナの姿には、色々考えさせられる。ジュディ・ディンチの演技が圧巻。地味だけど素晴らしい映画

→『フロム・イーブル』を思い出した

 

LEGO® ムービー』

吹替2Dで。画面効果まで含めた全てをLEGOのパーツで表現したコダワリは凄い。膨大な数のパーツで作られた爆発煙とか海とかは見応えあった。しかしその反面、画面が終始チャカチャカとせわしなく動きつづけていて、映画の尺も相まってか、かなり疲れた。ストーリーも微妙

→画面の情報量が凄かった

 

『ZIPANG PUNK〜五右衛門ロックIII』

初、劇団☆新感線。半端ない熱量の作品。超面白かった。ミュージカルは久しぶりに観た気がする。照明で上手くセットを節約しながら、チープに見えない演出が凄い。歌も殺陣も見応えある。敢えて苦言を呈するなら、ダンスシーンのカメラワークかなぁ

→次は生で観たい

 

『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊

藤岡弘、氏が出ているので義務感で観に行ったが…案の定の出来栄え。オールスターモノにありがちな失敗(ストーリー面)+売りの筈のアクションが演出的にも酷い。藤岡弘、はさすがの貫禄で、半田健人出演も嬉しかったけどさ

→どうしてこうなったのか…

 

マイティ・ソー/ダーク・ワールド』

1作目よりは面白かったけど、他のマーべル・ユニヴァース映画に比べるとチョットね…敵の造形は良かった。ギレルモ・デル・トロっぽい。キャプテン・アメリカの登場のさせ方は意外性があって良い趣向だった。ソーとロキとの関係がより入り組んだ形で発展していたのがいいね

 

アクト・オブ・キリング

画面のチープさ、画面内で語られることの異様さが、ディストピアSF映画のよう。演出過剰だけど、それでも「演じること」の向こう側から滲み出るモノの凄まじさに圧倒された。表情の微細な動きから目が離せなくなる。本物のヤクザがみかじめ料集めるとこなんて初めて観たよ

 

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』

ストーリーから配役まで、全てが政治的。アメリカ政治史の暗部と現代の「安全保障」問題をミックスしていながら、すんなり観ることの出来るシンプルさが良い。キャプテンの超人能力が程良い。人間離れしているが、離れすぎてはいない。そんなバランス

 

『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』

全く観る気なかったけど、脚本:中島かずきということで観た。フォーマットの強さにまけてしまわないか心配だったが、しっかり中島かずきイズムが出ていて良かった。ギャグで誤魔化しきれないハードSFな設定。ひろしが完全に主役だった

 

アメイジングスパイダーマン2』

遺伝子でキャラクターを繋ぐ構想らしい。グウェンの運命は、ブルース・ウェインの両親並みに明らかだったわけだけど…デイン・デハーンがとにかく最高。深くて暗い眼差しが揺れる心を繊細に映す。色々な点で、前作よりも遥かに良い。次作を匂わせる描写も多々あった

 

『チョコレートドーナツ』

アラン・カミングの「母性」がすげぇ。題材的にお涙頂戴話だと誤解されそうだけど、笑える場面も多くて面白かった。世界の片隅でひっそり生きた彼らの、お前らはなんでそんなに「雑」なんだ、なんでそんなに「無神経」なんだって叫びがヒシヒシ伝わってくる。抑えた演出もいい